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「早稲田を知る」 ■ 前期もしくは後期 木曜6限

2007年に創立125周年を迎える早稲田大学は、創立者大隈重信、彼を助けた小野梓、高田早苗、天野為之等の志によって建てられた大学であることはいうまでもない。しかし現在、そういった先人たちの建学の理念に学生が触れる機会は多くないのが現状である。そこでこの授業では、そういった先人たちの志に講義を通して触れることにより、早稲田大学の建学の精神を理解し、真の意味での早稲田大学生となることを目指す。










奥島孝康(おくしまたかやす)
早稲田大学法科大学院教授 早稲田大学前総長
1939年生まれ。1963年早稲田大学第一法学部卒。1976年に早稲田大学法学部教授、同年法学博士に。以降も教務部長、図書館長、法学部長などを歴任し、1994年から2002年まで早稲田大学総長を務める。




多彩な講義が用意されている早稲田大学の授業群。その中でも際立って特徴的だと言えるのが、オープン教育センター設置科目の「早稲田を知る」である。社会問題を学ぶのではなく、芸術を学ぶのでも、ボランティア論を学ぶのでもない。この授業で扱うのは、“早稲田大学”そのものである。「早稲田大学の歴史を学ぶ」、その意味とは何であるのか、同授業のゲスト講師を務められている奥島孝康教授に伺った。


――この「早稲田を知る」という授業は非常に特徴的だなと思うのですが、大学の歴史を学ぶことにはどのような意味があるのでしょうか?

理由は非常に簡単だよ。そもそも、私立大学の存在理由とはなんだと思うかね? まず勘違いしてはいけないのが、単に研究教育をするためだけに私立大学が存在しているのではない、ということなんだよ。それだったら国立大学があるんだから、わざわざ私立大学を作る必要はない。では私立大学とは何かというと、「志」を育てるための大学なんだ。それぞれの大学で何を目指すかという理想を持って、その「志」を育てていく。つまり、私立大学とは、“志立”大学でもあるのだよ。 もちろん早稲田だけではなく、同志社、明治、立教……、全ての私立大学には「志」、すなわち目的がある。それが建学の理念に当たるわけだが、我々はそういう精神というものを受け継いでいかねばならない。建学者の志を受け継ぐことで、早稲田は早稲田であるということを考えなければならないんだ。


――現在はそういった早稲田の精神が受け継がれていないと?

本来早稲田には、イギリスの貴族の持つ高貴な精神があったのだよ。戦時には進んで弾の飛んでくる前線に立ち、平時には先頭に立って慈善活動をやるというような、ノーブレスオブリージュ(注)の精神がね。だが今早稲田には、とにかく損をしたくない、あわよくばいい思いをしたいという人間ばかり増えて、ちっともそういう精神が受け継がれていないんだよ。


――そういった精神を改めて学ぶために、この授業があるわけですね。

その通りだ。早大生たるもの、早稲田に誇りを持たなければならない。そして、早稲田に誇りを持てば、早大生としての「世のため人のために汗を流す、涙を流す」という自覚が生まれる。そのためには、早稲田の歴史を知ることが必要なわけだ。

(注)ノーブレスオブリージュ:直訳すると、「高い身分による道徳上の義務」。貴族などの高い身分にある者には、それ相応の社会的責任・義務があるとする考え方