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戸部亮介さん
早稲田大学政治経済学部。南仏の町・オブナの私立中学校にてフランス人に日本語を教える。期間は2003年9月から2004年6月まで。
生徒との距離
生徒との距離については毎日よく考えている。10代前半って、繊細で難しい年頃だ。それは自分自身を振り返っても、自分の当時の友人達を思い出してもそう感じる。だから、平等に差別せずに接しなきゃいけないし、本気でぶつからなくちゃあいけないなあと感じる。そうするとね、どういう姿勢がいいのかなって、生徒との距離感をどう置こうかなあと、よく考えるようになる。なれなれしすぎて、ナメられるような先生じゃ駄目だしさ。それはカッコわるい。
一番気を遣うのは怒るときだなあ。他人のものを盗んだり、平気で他人を傷つけるようなことを言ったり、意図的に嫌がらせをしていたりするとき、これは必ず注意しなきゃいけない。それで、きかなければ怒ろうと決めている。殴ることだけはしないって、限度を決めてはいるんだけれどもね。でも、1回だけ本気で怒った。他人に迷惑かけるようなことや下ネタをたくさん言って、うるさいし、注意しても聞かない。明らかに真面目に勉強している生徒が迷惑していた。さらにその上、俺のことをバカにしてきたんだよね。調子にのって、おどけて、「殴れるもんなら殴ってみな」と俺に言ってきた。カーッとなって、日本語で怒鳴り散らしたよ。「てめえら、ふざけんじゃねえ、だまりやがれ。ナメてんじゃねえよ!」って言ってから、教壇を蹴ってしまった。そしたら、シーンってなっちゃった。もう、ものすごい沈黙が何分も続くの。これにはけっこう驚いた。日本語で怒った方が逆に「やべえ、マジでキレちゃったよ、わるいことしちまったな」って、効くのかもしれない。
自分の先生としてのスタイルを考えると、自然と今まで自分がお世話になった先生達のことをすごく思い出してくる。やっぱり、自分の経験の中からでしか、理想の先生像を編み出せないというか。そうすると、色々、なんていうか「一人反省会」がはじまる(笑)。ああ、高校時代(男子校)に生徒会長だったのにもかかわらず、しょっちゅうウケ狙ってアホなことやってばっかりで、生徒会顧問の先生達に迷惑かけまくりだったなあとか。だって、そんな生徒いたら元気があっていいとは思うのだけれど、やっぱりマジで大変だよ。それから、生徒のときは本当に嫌だなあと思った先生の気持ちもなんとなくわかってくるような気がするんだよね。で、沢山の恩師を思い浮かべては、あの先生のここは真似しようとか、ここは反面教師にしようとか考える。そうして、自分が10代前半だったら、こういう先生がいてほしいなあ、というのを考えてそれに自分が合致するように頑張るしかない。「あの兄ちゃん、いいジャポネだよなあ、なんかあの兄ちゃんの授業は楽しいし、勉強する気になっちまうよなあ。日本語もいいもんだぜ、俺(私)、日本行きたいなあ」、そう思わせたら勝ちだなっておもう。