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戸部亮介さん
早稲田大学政治経済学部。南仏の町・オブナの私立中学校にてフランス人に日本語を教える。期間は2003年9月から2004年6月まで。
生徒の家・エクサンプロバンス
エクサンプロバンスという、マルセイユから車で40分ほどの街に近い家に住んでいる生徒の家を訪ねた。5人兄弟、緑の溢れた庭を持つ家で、親父さんは陽気な頼り甲斐のある方、お母さんはとても気配りな優しい方だった。学校の寮にウィークデイは泊まる私の生徒。12歳の子供にとって、週5日親と会えないのは本当に辛いことだ。これを承知の上で、あえてそうした学校に入学させる親の、子供への厳しさと愛情を感じた。自宅通いでは勉強をあまりしないからという理由で、寮生活をさせているとのこと。そんな彼の姉の一人は現在、パリの名門・ソルボンヌ大学に通っている。他の兄弟も新聞記者を目指して勉強していたり、サントンという南仏伝統の音楽の笛と太鼓を吹いていたりしている。食事の時間は笑いで溢れ、窓からは温かな光が差し込んでいた。あえて、家では急な仕事以外ではパソコンは使わないし、ネット回線もつないでいない家庭である。そこには彼らの豊かな生活に対するこだわりがあり、彼らの価値観があるのだ。技術的の進歩を盲目的に善とはせずに、自分達の生活を守る姿勢はとても刺激を受けた。彼らと、エクサンプロバンスも一緒に散策した。ここはかつて、プロバンス公国の首都として繁栄し、セザンヌが好んだ地である。現在は富裕層と学生とで溢れかえる街だ。特に法学と文学において、有名な大学がある。ここの街のホテルに宿泊した。フランスに住むならば、ここに住みたいと本当に思わせる魅力的な活気をもつ街だ。この街から近い場所に、この家族が住んでいることも、この家庭の特徴を現しているかのようだった。住む場所には、その人の生活があらわれるものだ。