――人によっては、やりたいことは仕事とは別というような、お金を稼ぐ手段と しての仕事と、夢を切り離した考え方もあると思うのですが、左京さんにとって 、仕事と夢は切り離せないものなのでしょうか?
うーん。切り離して考えるのは、嫌ですね。
さっき言ったように、仕事って一日の大半を使うことだと思うので、それがお金
を稼ぐだけだとなんか違和感がありますよね。
でもお金を稼ぐというのも仕事の中に含まれている要素だと思うんですよ。きち
んとクライアントとかお客さんのためになって、人のためになって、収入を上げ
ることができればそれは仕事として成立するんですよね。夢はお金にならないと
いう理屈はないわけです。
夢か仕事かとか、単純に言われるけど、そういうもんじゃないですよね。たまた
ま入った会社の中で、夢と思われるような目標が出てくる場合もあるし、こんな
素敵な人になりたいと思うような先輩に出会えるかもしれないし、それが夢にな
ったりするわけでしょ。
だからその仕事をやる際に大事なのは、どういう作戦を練ったかとか、その仕組
みはどうなってるのかとか、どういう人がどんな思いでやってるのかっていうこ
とじゃないですかね。
あとは自分が夢だと思うことってどんな仕事があるんだろうとか、実際にそうい う仕事を作り出せないかとか、それに近い仕事をやっている人はどんな人だろう っていうように自分なりに掘り下げていったり、積極的に動いていくほうが、お 金を稼ぐだけと割り切るよりはずっと前向きでいいんじゃないかと思いますね。
――ちなみに今現在のご自身の夢はありますか?
「人のためになる」という方向性を大切にして仕事ができたらいいなぁというこ
とは、会社を辞めた時も今も変わりません。
ただ仕事をしていく中で、自分自身も成長していきたいとは思いますね。
そうするともっともっとやれることがしっかりしたものになって、もっと大きく
なっていくかもしれないし、内容が充実するかもしれない。だから夢というより
は、そういう目標レベルで自分の仕事をよりよくしていきたいというのはありま
す。
こういう仕事っていいなぁとか、こういうことやってみたいという仕事が今後出
てくるかもしれないですけれど、根本にあるものっていうのは変わらないでしょ
うね。
夢というほどではないですけれども、「人のためになる」という視点で、自分の やっている仕事がよりよいものになっていけば、それが自分の人生にとってもい いことだなぁと思います。
――現在、やりたいことや夢を探している学生にメッセージをお願いします。
やりたいことがある人はそれに向かって突き進めばいいと思いますけど、僕なん
かもなかったんですよね。僕が学生のときは今みたいな仕事をしているとは思っ
てもみなかったわけですから。
でもそういうものに出会いたいとか、出会ってやるという気持ちを継続して持つ
ことはまず大事だと思いますね。思ってさえいれば、可能性はゼロじゃないので
。
少なくとも今の時点でわからなくても、自分はいったいどういうことをしたいん
だろうってことは考え続けること、これは大事。
しかも考えてわからないからそこで立ち止まるのではなくて、歩きながら、前に
進みながらも考え続けることが大事じゃないかなと思います。
そうすると自分自身ってどんどん変わっていくし、考え方も変わっていくし。半
年前に「違うなぁ」と思ったことが、ある人との出会いによってこれだったのか
っていうこともあるかもしれないし。
だから考え続けることと、立ち止まらないことじゃないかなぁ。
自分が仕事っていうものを考えるときには、そのコアになるもの、核になるもの を見つけていったんですが、それさえあっていればきっと何を選んでもぶれずに 、納得できるんじゃないかと思います。あとは他人からの見られ方とかはあんま り気にしすぎないことは大事かな。
なので、学生の方に何か言うとすれば、何か一生懸命やったこと、自分の全部を
懸けて打ち込みましたということがあると、それはきっと仕事にもつながるし、
そこで経験したことや感じたことは全部自分のものになって、後の自分につなが
ってくるということですかね。
変に「これをやっておくとプラスになるだろう」ということを考えすぎないほう
がいいかもなと。
学生時代に何してましたかと言われたときに、全てが就職のためのプロセスみた
いだったら寂しいじゃないですか。
「それって何になるんだ」って人から思われることでも、自分がそれを大好きで 仕方がないとか、それをやってるときのわくわく感は他には代えがたいっていう ことがあればとにかく没頭してやってみるっていうのは大事な気がしますね。 。
左京さん、ありがとうございました!
次回更新は、働く×家族というテーマで、NPOファザーリング・ジャパンの
安藤哲也さんにお話を伺います。
10月8日更新予定です。お楽しみに!