早稲田に田んぼを作ろう!!  

「早稲田のシンボル、『稲』の復活を!」という発想のもと、 現在「大隈庭園に田んぼをつくろうプロジェクト」を進行中の学生NPO 農楽塾。 5月21日に行われる田植え記念式を前に、副代表の東向 曜さんと大林広樹さんに お話を伺った。


―田んぼを作ることになったきっかけは?
大林・オープン教育センターの全学部共通科目に「農山村体験実習」というのが あって、千葉の鴨川や山形へ行って農作業をしたんです。授業は半期で終わったん だけど、そこで出会った仲間同士で何かできないかなって話をしていて、 早稲「田」大学なんだからワセダに田んぼを作ろうという話になって。


―もともと農業に興味はあったんですか?
大林・メンバーを見ると、純粋に実家が農家という人はあまりいないんだけど、 それぞれ原体験っていうか、問題意識の種みたいなものは持ってて。 僕は、家の周りを田んぼに囲まれて育ったという田んぼへの愛着のほかに、 祖父母が地方で農業をやっていたのが大きいです。体を壊してもう農作業ができ なくなって土地をどうするか途方にくれていたりして。かたや自分は東京の大学 で勉強していて、東京と地方のいろんな意味での格差や、この国の文化である 農業のおかれている現状、若者の無関心さを何度も感じて、何かできないのかと もどかしくて。 他のメンバーもやっぱりそれぞれ、問題意識は持っていて、それが農山村体験実習 を経験してさらに大きくなったね。
東向・みんなまちまちだよね、問題意識は。
大林・うん。で、大都市・新宿の早稲田に「農」のシンボルとして田んぼを1世紀ぶ りに復活させちゃえ!みたいな、そういうノリになったんです。まずは身近なところから 行動、Think globally, Act locallyということで。


―このプロジェクトで今は田んぼを作っていて、その後になにか目的はあるんですか?
東向・活動していくうえで、3つの理念・目的をもってやっているんです。 大林・まず、東京っていう大都市の人たちに、普段なかなか考えることも触れること もない、食べ物の原点「農」に触れてもらいたい。で、生産の現場、食生活の原点、自然の営み、命、都市と農村の共生など、「農や食、環境」を取り巻く多くの問題を考えて、行動できるきっかけと場を作りたいなあということ。田んぼの規模はいまのところ4畳程度と小さめですけど、大隈庭園という多くの早大生の憩いの場で、かつ早稲田の重要な記憶を有する歴史的な場に、「農・食・環境」への関心を喚起する入り口となるシンボルとしてつくったわけです。


―今まで農業に関わってなかった人たちに?
大林・そう。で、2つ目は、たくさんの人を巻き込んでいって、まちづくりや人づくりにつなげるっていうこと。この田んぼがひとつの入り口として、普段出会えなかったまちの人たちや学生同士の 交流を生みだして、まちの活性化につなげられたら面白いかなと。 他大の人も時々農作業に参加してくれているんだけど、将来的には留学生やまちの人 などもっと多くの人や、行政なども巻き込みたい。そのための仕掛けをどんどん打っ ていきます。 汗を流して交流しながら、土に触れたり生き物を育てたりすることで、命とか、共生とか、人間の原点とか考えられるような人間形成の場、人づくりの場にしたいなっていう思いも込めてやっています。
3つ目は、「農的生活」の実現。別に、就農しろとか、農家になれとかいうことではなくて、常に「農」という要素が身近に存在する生活。 スローライフとかスローフードという概念をよく耳にするようになったけど、例えばグリーンツーリズムで農村をゆっくり堪能して心の保養をするとか、ちょっとした食材にこだわってみるとか、植木ばちで稲などを育てたりして植物と触れてみるとか。日常の喧騒の中にも人間らしさを失わないいきいきした生活ってことですね。
今、農楽塾の田んぼ以外のプロジェクトのひとつで、「小さな農夫プチ稲プロジェクト」っていうのがあるんだけど、ペットボトル等で稲を育ててまちの人や商店の人に持ってもらって、将来的には早稲田〜高田馬場間のまちを稲でいっぱいにしたくて。…最近さ、「花いっぱい運動」ってあるよね?早稲田だから「稲いっぱい運動」なんだよね(笑)。


―花ではなく、稲?
大林・稲をまちのアートにしながら、まちの緑化、屋上緑化、総合学習などにもつな げて、これをきっかけに交流していけたらおもしろいのかなって。


―田んぼをつくるのは学生でやってますよね?指導者はいるんですか?
東向・早稲田の教授や、農山村体験実習の時に繋がりができた農家の方、大学に冬の間だけ暖房の仕事で出稼ぎに来ていた農家の方などに教えてもらっています。 あと、同じような理念を持って活動しているところやOBなどからたくさん 声がかかってきていて、そういう人達にもいろいろなアドバイスをもらっていますね。


―じゃあ、進めていくときに、そんなに困ったりはしなかったんですか?
東向・それが、結構困りましたよ。何もないところを開墾して田んぼを一から作った ので、最初水が抜けやすかった。苗も、種もみを水に浸して発芽させて育てる所から 始めているんだけど、その稲がちょっとヒョロかったりする(笑)。


―大変ですね。ハート型の田んぼにしたのは何か?
大林・初めいびつな形をしてたんだけど、掘ってくうちになんとなくハートっぽく なってきて。じゃあこのままハートにしちゃって、早稲田から世界に愛を発信!みたいな。 完全なる後付けです(笑)。まあ、早稲田っぽいノリでね。
東向・ノリが大事だから。
大林・僕たちは「農楽塾」で、「農」を「楽」しむというのが重要なんです。 農学部でやるようなアプローチとはまた違った価値を発信できたらなと。 まずは、現場を知ってもらい取っ掛かりになるようなスタンスでやって いきたいですね。


東向・今、早稲田に100年ぶりに田んぼが復活するっていう時なので、 ぜひ皆さんに知ってもらって、早稲田のまちづくりとか、これからの 時代の農の重要性を少しでも考えてもらえるきっかけの場を作りたいと 思います。
大林・農楽塾は田んぼのほかにも各種プロジェクトを行っているので、 詳しくはホームページ( http://www5f.biglobe.ne.jp/~bigforest/)を ご覧ください。


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【取材】牧・福田・原島 【編集】吉見