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人生を10°の変化を

賑やかな高田馬場駅前から離れ、神田川沿いに少し歩いたところに10゜BARはある。白が基調の、暖かくゆったりとした雰囲気の店内。10゜BARとは大学生によって経営されているバーだ。現在のスタッフは5人。自分たちで店を作り上げていく楽しみを実感しながら店を開いている、そんな10゜BARのスタッフの方々にお話を伺った。

『人と人との出会いの場を作りたい』設立当初のメンバー4人のこんな思いが、10゜BARのきっかけとなった。「いろんな人との出会いが、僕たちの大学生活の中ですごく重要な要素だな、という思いをそれぞれ持っていたんです。だからこそ、自分たちから出会いの場を提供したかった。そこで、バーという形をとることに決めました。人が集まる場所を作り、対話を生むためにお酒があればいいんじゃないかと。お酒は人と話す垣根を下げてくれるから」

コンセプト決めに6ヶ月、工事に2ヶ月。友人たちの協力を得つつ、工事のほとんどを手作業で行なった。決まりかけていた物件が白紙になり、一からやり直したこともある。何日も徹夜で工事したこともある。そして何より大きな問題となったのは、資金の調達だった。どうしてもあと100万円足りない。そんなときも、助けてくれたのは彼らの友人たちだった。「創始者4人の友人25人ずつ、計100人が1万円ずつ出資してくれたんです。自分たちのバーを作りたい、という僕らの情熱を買ってくれて」

バーを作ろうという話が出てから8ヶ月後。多くの人たちに支えられて、彼らのバーは完成した。名前は10゜BAR。訪れてくれた人たちがここで新しい出会いを得ることで、彼らの人生にほんの少しだけ、つまり10度の変化をもたらすことができたら――という思いを込めて。「オープンの日は忘れられないですね。自分たちが作り上げたお店でお客さんが笑顔で楽しんでいてくれる光景を見たときは、鳥肌が立ちました」

しかしプロとしてやっている以上、大変なことも多い。大学生としての学業とバーの仕事に追われる日々。新しいメニューの開発。多くのお客さんに来てもらうために低価格に設定したいという思いと、お店を続けるための利益との葛藤。それでも彼らが10゜BARを続けていくのは"人との出会いの場を提供したい"という強い気持ちがあるからだ。「自分の知らない世界のお客さんとお話して、新しい体験を聞けるのにはやりがいを感じます。何より、見ず知らずのお客さん同士をうまくつなげられた時は本当にうれしいですね」。実際に、ここでの出会いがきっかけで、2つの学生団体による共同企画が進行中である。10゜BARから人の輪は広がりつつある。

10゜BARで、人と人とのつながりはさらに広がっていく。「出会いだけに留まらず、その出会いを形に残していきたい。例えばサッカーサークルのような、何らかのコミュニティを作っていきたいですね。最近プロジェクターを取り付けたので、スポーツ観戦や学生が作った映画の上映会も開けますし。若手のクリエイターによる映像コンペやギャラリー等の展開も考えています。何かをするきっかけ作りを提供していきたいですね」。現在のお客さんは大学生が中心だけれども、今後は社会人や専門学校生にも客層を広げたい、と彼らは言う。幅広い年代・立場の人々が集まれば、きっと新しい出会いへとつながっていく。

最後に、読者へのメッセージを伺った。「何か新しいことをしたいと思っている方がいれば是非10゜BARに来て頂きたいです。僕らに出来ることがあればもちろん協力するし、様々なバックボーンを持つ学生と話せる環境があるので、きっと良い刺激を得られると思います」

ふと時間の空いた夜には、10゜BARにふらっと訪れてみてはいかがだろうか。貴方の人生を10゜変える、そんな出会いに巡り会えるかもしれない。

記事:鵜木彩