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〜今、大学にいるという奇跡〜

12月5日から10日にかけて「生命(いのち)のメッセージ展in早稲田大学2006」が行われる。
今回はその実行委員会代表で、大学院社会科学研究科2年の三廻部麻衣さんにお話を伺った。


――「生命のメッセージ展」とはどのようなものなのでしょうか?

「交通事故やいじめによる自殺など、理不尽に命を奪われた被害者の等身大のパネルと靴などを展示する、アート展です。早稲田大学第二文学部に通っている鈴木共子さんという方が、2001年に東京で初めて行いました。その後、各地で実行委員会が立ち上がり、全国で開催されるようになりました。今年の5月には、'02年に引き続いて国会での展示も行いました」

――今回、それが早稲田で行われるわけですね。

「早稲田に合格した一人息子を交通事故で失ったことが、鈴木さんがメッセージ展を発案したきっかけだったんです。早稲田大学で開催したいという強い願いから、鈴木さん自身も三浪の末に早稲田に合格し、そして2004年に『生命のメッセージ展in早稲田大学』が始まりました。早稲田では'04年、'05年と連続で開催され、今回行う『生命のメッセージ展in早稲田大学2006』が通算40回目の『生命のメッセージ展』となります」

――先程アート展とおっしゃいましたが、本当に様々な見せ方をしていますよね。

「そうですね。等身大パネルのほかに、例えば赤い毛糸玉があります。これは『命をつなぐ』という意味をこめて、10センチの毛糸を来場者につないでもらっているのですが、こぶし大程度だったものがどんどん大きくなり、今ではくす玉ほどの大きさになりました。 被害者が生まれてしまう根本には、『ちょっとくらい飲酒しても』とか『ちょっとくらいいじめても』とか、他人に対する思いやりや想像力の欠如があると思うから、想像力を喚起させるアート展って、命の重さを感じるのにすごく適していると思うんですよね」

――今年はどのような展示にするのでしょうか?

「今年は今まで以上に早大生に見てもらいたくて、『今、大学にいるという奇跡』というテーマにしました。私たちは、就活や授業に参加するのは当たり前で、その上でどの会社にしよう、どの授業にしようと考えたり悩んだりします。でも、その前段階を奪われた人がどれだけ沢山いるか。就活で悩めることがどれだけ幸せなことか。それを感じてほしい。今生きていることは、奇跡の連続なんです。 そして、自分の人生や生活を肯定して愛せれば、他人の人生が失われる怖さ、大きさ、悲しみを感じられるはずだと思います」

――では最後に、読者にメッセージをお願いします。

「企画名を見て、重い印象を受けてしまうかもしれませんが、まずは少しだけ勇気を持って来てほしいですね。もし来るのに気が引けるようならば、恋人でも友達でも、大切な人を誘って一緒に来てみてください。『もしこの人が目の前からいなくなったら』と想像できて、私たちのメッセージがより伝わりやすくなると思います。 そうやって近くにいる人を大切にしたり、飲酒運転を止めたりすることが早稲田にいる5万人に広がったら、それだけで亡くならずにすむ方もいるのではないでしょうか」

日ごろ私たちは様々な悩みを持ちながら暮らしている。
それ故他人を傷つけてしまったり、一人で抱え込んでしまったりするかもしれない。 でもそんな時こそ「生命のメッセージ展」のような場所で“生きている”ということを再確認すべきではなかろうか。

「人生はやり直せるけど、命は一度失うと戻らないから。」

【プロフィール】
三廻部麻衣(みくるべまい)
早稲田大学大学院社会科学研究科2年
「生命のメッセージ展in早稲田大学2006」実行委員会代表

中学生の頃からラジオ製作に関わり、約10年間現場で様々な経験を積んできた。
障害者施設でのボランティア経験もあり、2004年に学内で出会ったポスターを契機に「生命のメッセージ展」に参加した。

【イベント詳細】
開催日時:2006年12月5日(火)〜12月10日(日)まで
     火曜〜金曜 午前11:00〜午後7:00 / 土日 午前10:00〜午後5:00
開催場所:早稲田大学新学生会館
      地下2階多目的ホール(メイン会場)
      地下2階演劇練習室
      1階アトリウム
企画予定:ご遺族のスピーチ・講演会
     『千宝美』ライブ
     鈴木共子さんの映画 『0(ゼロ)からの風』の出演者・監督による座談会
      ほか
URL:http://inochi-waseda.main.jp/

記事:木村 良平