vol.34 作りたいもので、生きていく

2017年10月28日

1 2 3

――山地さんの作品は色の使い方が印象的です。ポップなのに不思議な感じもする色の使い方にこだわりはあるのでしょうか。



そもそも、作品を作り始めるといろんな色使いたくなっちゃうんですよ(笑) 色づかいもなんかほとんどアドリブで決めてるような感じですね。でも思い返すと学生時代から結構カラフルな作品が多かったです。もともと僕はきゃりーぱみゅぱみゅのMVみたいなものが好きで、カラフルなものに心が惹かれるんですよ。あとはイギリスのデザインプロダクションがつくるパステルっぽい色使いとかすごいおしゃれだし。あんま日本にはない感じが好きですね。
CGはどちらかというとメカの鉄っぽさを出したり、リアルな質感を追及するものが主流の気がしますけど、僕はカラフルでデザイン感のあるものにしたいんですよ。リアルにしようとすると逆に、リアルじゃないのがばれたりするんですよね。僕がCG使いたい唯一の理由は、なにか現実にはないものを作ってみたいからなんです。画面の中は無限だから、なんでもできると思って。だから実際にはない形とか色や模様を追求してみたら結果今みたいな作風になったんです。



170918

profile

――確かに現実にはない、ファンタジックな作品が多いように思えます。



そうですね。でも完全に架空のものでもダメなんですよ。ただ非現実的なものを作ると「そういう世界観なんだな」と思われてしまいますからね。完全に架空ではないけど、ちょっと変な感じっていうのがちょっと心地良い感覚があるんです。だから現実にあるような質感をあえて使ったり、人や植物みたいな現実世界にあるものをモチーフにしたりしていますね。



――そのような現実感があるのにファンタジックな作品を目指したきっかけなどはあるのでしょうか。



僕はアートでいうと、ダリみたいなシュールリアリズムがすごい好きですし、かなり影響を受けてます。ダリの作品は明らかに現実ではないんだけど、ちょっとリアリティがある感じが面白いかなと思っていますね。あとマグリットの絵でも、顔の前に青リンゴが浮いてる作品があるんですよ。だから自分の作品でも、完全にファンタジックになってしまうのは違うなと思っていて。現実にはあるモチーフなんだけど、重力がおかしいとか色がおかしいとか、そういうちょっとした違和感みたいなものを作りたいんです。
日本でも野田凪さんが作った髪の毛が動物の形になっている帽子とか好きですね。あと吉田ユニさんが作った星野源の『YELLOW DANCER』のアートワークもいいなと思いました。野菜が顔だったり、皿がたくさん積みあがった人間みたいなのがいっぱい写っているんですよ。そういう方々のカラフルで、可愛いけどちょっと不気味で不思議な作品に憧れている部分はありますね。



――自分で思いついて作る場合と、依頼が来てから作品が作る場合があると思うのですが、製作過程の違いなどはあるのでしょうか。



依頼が来たときはかなり制約も激しいから、そのなかでどうするかは考えますね。あまり好き勝手に作っていいということはないので、不自由といえば不自由です。でも完全に「アートワークを一枚作ってください」みたいなものは自由なので思いつきで作ります。それでも自分から作るほうがやりやすいですね。一番理想的なのは自分が勝手に作ったものを相手がいいって言ってくれるのが一番理想的です。実際、大物の芸術家とかは大体そうなんじゃないですかね。芸術家の作品に「ここちょっと変えてください」みたいに言うやつは頭おかしいじゃないですか(笑) 将来的には何も言われないぐらいになるのが、一番理想ではあります。そもそもあんまり僕クライアントワークですごく成功したいとかは考えたことはないので。せっかく作ったのにここやっぱなしでとか言われたら辛いじゃないですか。
漫然と思うことは、ものを作る人のなかには二種類いて、自己表現としても作りたいものがある人と誰かのためになんか作りたい人がいると思うんですよ。まぁ多分お客さんのために喜んでくれるのが第一という人もいるんですが、僕は完全に自分が作りたいものを作っているんですよね。



【次ページへ】デジタルアートならではの魅力とは

1 2 3

Copyright 2013-2019 All rights reserved, www.waseda-links.com