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コラム

早稲田大学南門通りの古本屋『ルネッサンス』

みなさんは早稲田大学南門通りの古本屋『ルネッサンス』を利用したことがありますか?

古本屋を利用してみたいけど、どうしたらいいのかわからない、と言う人は多いのではないでしょうか。

今回は『ルネッサンス』の店主にお話を伺って来ました。

記事を読めば、ルネッサンスの店主のこと、古本屋のこと、本を読むと言うことがわかるかもしれません。


−古本屋を始めたきっかけを教えてください。

きっかけなんてものは特にはないよ。元はサラリーマンをやっていたんだけど、ただなんか、楽して生きていこうかなと思っただけでさ。やってみたら楽じゃなかったけどね。見込み違いだった(笑)

−なぜ『ルネッサンス』という名前にされたのですか?

“なんとか堂”みたいのが嫌だったんだよ。最初はセレクトショップみたいな感じで、おしゃれにやろうと思ってた。私の好きなものだけを売って行きたかった。でもなんだか“なんとか堂”みたいになっちゃったね。本当は物をこんなふうにゴワッと物を置くのは嫌んだよね。置いちゃってるけども。


−最初は本以外のものも扱っていたのですか?

最初はね、本も含めて“素敵な生活”を提案したいと思っていた。でも、我々古書屋っていうのは売ってくれる人がいるから成り立っている。ここの場合は本を売る人が圧倒的に多くて、だんだんいろんなものは置けなくなっちゃったんだよ。本だけでこの状態だからさ。

この状態である

−『ルネッサンス』で特に多く揃っている本の分野を教えてください。

もともとは哲学や社会科学の本をたくさん揃えたかったから、在庫は多い。でも学生街ということもあって他の分野も平均的に並べてるよ。

日本語以外の本も多数


−古本屋をどのように活用したらいいのかわからない学生が多いと思います。

お目当の本を安く買いたいんだったら、古本屋で見つけ出すのは難しいと思う。古本屋には本の種類はたくさんあるけど、一つの本をたくさん持っているわけじゃない。

だから、授業で必要な本をピンポイントで見つけるのに古書屋は向いてない。あったらラッキーだけど、それが売れてしまえば店に在庫はなくなってしまう。皆さんが売ってくれるまではね。


では、どのような人が利用するべきなのでしょうか。

例えば「今ロシアについて調べています」とかならば私たち古書屋は本の提案をすることができるけど、ドストエフスキーの〇〇ありませんか?」と聞かれたら、有るか無いかでしか答えることができない。

映画や音楽を聴くのと同じように、自分が好きな本のジャンルや求めている本のジャンルがある人には向いていると思う。今日は時間があるから本を読みたいだとか、この分野を深く知りたいだとか、いつも自分が読んでいる作家じゃない作家が書いた本にチャレンジしてみたいだとか、古本屋はザクっとした目的を持って本を探しにくる場所だと思う。


−お店に来て、店主に相談をしたら本をお薦めいただけるのでしょうか。

本が好きな学生に、面白い本の読み方を提案することはできる。だから、もしここの入り口で「本は好きだけど、どうしたらいいのかわからない」と言っている人がいるなら「まあ、お入りよ」と言いたいね。

本が好きで、うちに限らず古本屋に入ったことがないのは少し勿体無い気がする。ここにきて、自分の好きな本の種類を話してくれたら、僕もその人のことを知って、その人に合うような、その人の世界が少しでも広がるような本を薦める。

−古本屋を利用する学生は減っていますか?

最近はアマゾンとかメルカリとかで教授に読めと言われた本とか、流行りの本の名前を検索して手に入れることが多いんだろうな。

本屋や古本屋に入る楽しさは自分が買おうと思っていなかった本と出会ってしまうというところにある。本との出会いなんて、もっと偶然なものでいい。手にとった本が自分にとって本当に価値があるかんて、中身を読んで見ないとわからないんだから。

パッと手にとった本が面白くなかったとしても、お茶を一杯飲んだと思えばいい。僕は本を選んで読むということはそのくらいのことだと思うんだけど、みんなはもっと深刻に本を選ぶよね。面白くない本を読んで損をしたくないのかな?

自分ひとりのために使う時間やお金は無駄なように感じてしまうのかもしれないね。だから「本を買って読むなら有益なものを」と思ってしまう。でも、一つの本の中に一行でも気にいった箇所が見つかれば、それでいいじゃない。それをノートに書き写したりしてさ、一生自分の中に残る言葉になるかもしれないよ。


−学生は食事や遊びにはすぐにお金を出しますが、本を買うのは渋ってしまうかもしれないですね。

本を読むというのは自分と本だけになって、自分を見つめなおす作業。読書はネットや遊びを通して誰かと繋がるのとは対局にあることだね。誰かと繋がるのもいいことだけど、そこに力を入れるのと同じように、一人になって自分と向き合う時間にも時間やお金を出してもいいんじゃないかなと思う。

これは本に限った話じゃないけれど、何かを集めたり所有するということは自分の内面が目に見える形になるということ。本を借りるのもいいけど、自分で買って手元に残すということにも意味があると思う。いらなくなったら売ればいい。そうやって古本屋は回っているしね。


−学生が本を読むこと自体減っているかもしれませんね。

まあ、いいんじゃない?他に面白いことがあるのでしょう。でも、自分一人で自分と向き合う時間は大切にして欲しい。

本は自分ひとりで時間を使って、自分一人で考えるときのお供にぴったりだと思う。

ゆっくりひとりで考えるときの読書に、新書を買うのは少し高いと思うなら、古本屋に来てみるといい。外に置いてある本なんか100円だよ。100円でジュース一本も買えないよ?

(取材/文)平内茉莉

『ルネッサンス』の本の値段は一番後ろの右上


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