――伊藤さんは映画サークルに所属していたと伺いましたが、どのような活動をなさっていたのですか?
小さなサークルに入って、8ミリビデオを使って撮っていました。Hi8(ハイエイト)ってやつですね。映画というよりはテレビドラマみたいな感じだったです。「北の国から」の倉本聰さん、「ふぞろいの林檎たち」の山田太一さんあたりが好きで。だからその頃は、カメラよりも脚本をやりたいなという気持ちがありました。いつかは脚本家でデビューしたいな、と。
――ということは、やはりサークル中心の生活だったのでしょうか。
そうですね。政経はあんまり授業に行かなくていいでしょ? 語学と体育しか出てなかった(笑)。大抵はサークル仲間と一緒に文キャンラウンジにいました。新興の小さな映画サークルとか、やはり小演劇サークルがそこに集まってたんですよ。まぁ大体はぐだぐだしゃべっているだけだったんですけどね。映画の話とか、単位の話とか、就職の話とか。もちろんシナリオ書いたりもしてましたよ。当時書いていたシナリオは恋愛物が多かったです。別に好きな訳じゃないんですが、同じ素人たちの中に、どんな役でも演じられるような名優ってそうそういないじゃないですか。せいぜい、ちょっとかわいい子とかっこいい子を見つけるので精一杯。そうなったら、これはもう恋愛するしかない。ただし、自分の恋愛は反映させてないですよ、僕が撮っていたのは「ふぞろいの林檎」風ですから(笑)
――お好きだとおっしゃっていましたよね。学外に出かけることもありましたか?
もちろん。商店街に昼食をとりに行ったり、あとは古本屋ですね。お店の人が色々なことを知っているから凄く便利だった。今でいえばインターネットみたいに。例えばマラルメ(フランスの詩人)を読みたいときに、政経では習えないでしょう。どういう流れで読めばいいかわからないから「初心者にはどれがいいのか」って古本屋で聞くんです。そうすると丁度いい本を貸してくれるんですよ。(この本が)良かったらお金を払って、って。ずっと通い続けていましたからね、そういうやり取りはよくしましたよ。他にも安い文庫本を買って学校で読んだり、お店に偶然紛れ込んでいたドラマの脚本を買って、独学で勉強したりしてました。