――当時の一文の授業はどのような雰囲気だったのでしょうか?
今も同じかもしれませんが、授業に来ない人が多かったです。まぁ、みんな来たら教室に入りきらなくて困りますよね(笑)。専門の授業はそんなに出席が厳しくもなくて、本当に自由。先生方は研究熱心で、学生に対しても熱心に講義を行う方が多くいらっしゃいました。いい先生に恵まれたなぁと思います。この間『あやつられ文楽鑑賞』という文楽のエッセイを出したのですが、映画演劇専修の内山美樹子先生の授業がきっかけで文楽を見るようになったんです。早稲田での授業が、今も作品に生かされています。
――作品を書く上で、意識しているテーマはありますか?
特にはありません。でも書いているうちに、家族や友情という言葉ではくくれない関係性、そういうものでくくったらこぼれちゃうような人間関係を表現したいのかなあと思うようになりました。たとえば同性愛。これにはジェンダー論や、男性学や、差別問題が入ってきますよね。どんな問題でも、少数派の意見をみんながいかに自分のものとして受け止められるかが大切だと思っています。なかなかうまくいきませんけどね。そういうふうに思っているだけでも、考えないよりはましかなぁと思います。
――それでは最後に、早大生へメッセージをお願いします。
うーん、好きなことをやるのがいいと思います。まぁ、いつでも好きなことはできるんですけれど。好きなことをするのに「慣れておく」のが大切ではないでしょうか。会社に入ってもあんまり息抜きできなくって、辛くてたまらないのに辞められないとかいろいろあるじゃないですか。何やっても生きていけるんだなぁっていう思い切りをもつためには、うまく息抜きする方法やカリカリしない方法を大学生のときから知っておくことが必要かもしれないです。何もかも真面目にこなそうというのはやめて、息を抜いても平気なんだなっていうのを試す。ダラダラしたかったらダラダラすればいいですし。「何かしなきゃ」と思い詰めず、好きなことをやってください。