内容とは全然関係ないんですけれど、大学で書いた小説だったなぁという覚えがあって。4年生とか5年生のときって、授業と授業の間が空くでしょ?
1時間目の次が4時間目とか。そういう空き時間とか授業中に、レポート用紙の裏まで使って書き溜めて、帰ってからワープロに打ち直してた。大体は大学の図書館か3号館の机で書いていましたね。早稲田って椅子が硬くないですか?図書館の椅子はまだ良かったけれど、3号館とかは酷いよね(笑)。この小説をたまに読み返すと、そういうことを凄くよく思い出す。
この時期本当にたくさん書いていて、一気にがーって書くもんだから、ハイブリッドのボールペンが二日に一本くらいなくなっていくんです。登校するたび生協でどばっと買ってました。
この方は小説より論文のほうが有名かもしれないですね。だから、「堕落論」とかと一緒に読んでみるといいかも。
「白痴」のどこが良いのかというと、小説が壊れるぎりぎりの形をしているところなんです。白痴の女の人が主人公の家の押入れに入ってきて、帰れっていうと怒るので憎たらしいんですが、空襲が来くると主人公はなぜか彼女を連れて必死に逃げる。ただそれだけの話なんですが、小説が崩れる――構成が崩れるぎりぎりのところで止まっている。
エンターテインメントだと、盛り上げて落として大団円っていう決まりがありますが、純文学は小説が破綻してストーリーと関係なくなってくるところで上手く寸止めをするぐらいのがよかったりする。この小説はその技法の使い方が非常に優れているんです。