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早稲田リンクスワセトショ>本の紹介 松原秀行さん
   

主人公である少年達のエピソードと、彼らをいつも見守っている女性の少女時代のエピソードの二つが、交差しながら話が進んでいく作品です。

シリーズの他の刊では理知的で理想的な大人の女性として登場するキャラクターの新たな一面が見られ、心が温まるストーリーに仕上がりました。

この作品を書きあがった瞬間に、自分で「これはいいものができたな」と思えましたね。私としてはどの作品も気に入っているし全て読んでほしいと思いますが、あえて挙げるならこの一作です。

これはいわゆる、純文学の恋愛小説。内容としては、裕福な家に育ったコランという青年にクロエという恋人ができて、二人は楽しく暮らしているんです。ですが、あるときクロエは肺の中に水蓮が咲くっていう奇病にかかってしまい、それを治すためには高価な蘭の花を毎日食べなければならなくなります。そんな、言ってしまえばわけのわからない話です(笑)。

ですが、高価な蘭の花を買うためにどんどん貧乏になってゆくコランの姿や、演奏するとカクテルができるピアノといった不思議でお洒落な発明品がでてくる、悲しくて洒落た小説なんです。

それから天沢退二郎さんの「光車よ、まわれ!」もおすすめです。ファンタジー作品は舞台が異世界であることが多いのですが、この作品は異世界ではなく、現代の都会で起こるファンタジーを描いています。学生時代、ゾクゾクする想いで読みましたね。