合格体験記Vol.39 |
■はじめに 私は一年間の浪人を経て、早稲田大学社会科学部、教育学部に合格することができた。 もちろん現役で合格できていたらそれほどいいことはなかったと思うが、浪人して得られたことが多くあった。 的確なアドバイスをくださる恩師にも出会え、共に頑張れる友達にも出会えた有意義な一年間にできたと思う。 社会の選択が政治・経済であり、珍しいかもしれない。 しかし、基本的な勉強法は私の周囲を見ている限りあまり変わらないため、参考にしていただけると思う。 ■一年間を通した勉強法 現役時代に演習量が足りなくて失敗したと思っていた私は、一日の勉強の最低ノルマを決め、なにがあってもそれをクリアすることに決めていた。 具体的には 、現代文読解一題、古典読解一題、英語長文二題、政経の問題集二ページ、朝起きてすぐにやる基礎語句のインプットだった。 こう見ると一見少ないように思えるが、これを一年間「何があっても」続けるというのは、自信に繋がるものであり、問題を解く感覚を忘れないためには丁度いい量であった。 余力があるときはこれ以上の量をこなし、息抜きをするときは最低でもこの量をこなした。 また、一日に勉強した量をノートにつけるようにした。 これは後で見返したときに何の勉強が足りてなかったのか分析する材料になる。 加えて、自分がこれだけの量をこなしてきたのだという証明になり、自信にも 繋がった。 一日の勉強時間の目標を授業時間も含め十時間と設定し、達成できるように日々意識した。 もちろん達成できない日も多くあったが、一定の目標を掲げることが大切であったと思う。 もう一つ一年間継続して続けていたものは「英字新聞を読むこと」であった。 『Japan Times ST』という日本人が英語を勉強するための週刊英字新聞を毎朝数記事ずつ読んでいた。 英語に一番の苦手意識があったため、英語を読むということに慣れようと思ったのだ。 初めは慣れようという目的で読むにすぎなかったが 、量をこなすうちに違う利点もあることに気が付いた。 社会問題を取り上げることが多い新聞は、英語長文を読むための知識をインプットすることにも役に立ったのである。 特に早稲田の英語長文には、社会性が高いものが多い。 話の展開を読めるようになり、 本番の試験でもかなり役に立ったように思う。 ■春の勉強法 私が早稲田大学に合格できた理由の一番にはこの時期の過ごし方があったと思う。 浪人生活を始めた私は「絶対合格するしかない」という強い志があった。 周りの「まだ一年あるし…」という空気に流されず、春からしっかり勉強していたことがよかったのだと思う。 私が春に重点をおいてやっていたことは、基礎の吸収である。英語なら、英単語・文法・構文。国語なら古典単語・古典文法。政経なら基礎語句。 このような基礎が頭に入っていなければ、入試問題を解けなくて当たり前であるし、また、現役の時拾いきれてなかった分をきちんと吸収しようと思ったからである。 毎朝予備校で行われる基礎知識を問うテストで毎回満点をとるように勉強したことが、自然と頭に基礎知識を入れてくれたように思う。 これをこの時期に怠って夏に突入してもインプットが追いつかず、合格は難しかっただろう。 もう一つこの時期に心掛けたことは、生活をパターン化することだ。早寝早起きを当たり前にし、勉強する習慣を身につけた。 一度つけた習慣はずっと守っていかなければ、なにかちょっと気持ち悪い気がしてなかなかやめられないものになる。これによって、1年間怠けずに勉強し続けることができたと思う。 習慣を身につける時期が早かったからこそ、多くの勉強時間が確保できた。 基礎固めと習慣作りに成功したこの春こそ、私の受験生活で一番大切だった時期となった。 ■夏休みの勉強法 夏休みに入ると、前期内容を完璧になるまで復習した。 一度覚えたことを忘れないようにすることは、効率がいいと思ったからだ。 このことが功を奏したのか、秋以降に暗記に時間を使ったのは、ほぼ政経の時事問題だけだった。 この時期に新しく取り組んだのは 、過去問を解くということだった。 夏休みも終わりに差し掛かった頃、 ある程度知識が入ったかなと思った時に、自分が受けることになる大学の過去問を偏差値の低い順に解いてみた。 まず日東駒専レベルを解き、次にMARCHレベルを解いてみた。 現役時代はわからなかったところもあった問題や、時間ギリギリで解いていた問題がスイスイ解けるようになっていて、とても驚いたことを覚えている。 合格最低点ももちろん越えていて、「あ、これなら合格できるな」と思った。 勉強をしていれば結果が出ることを実感した瞬間だった。 次に、早稲田の問題を解いた。 しかし、日東駒専、MARCHほどスムーズには解けず、やはりMARCHから早稲田への壁が厚いこと、自分の実力が早稲田に追いついてないことを思い知った。 第一志望と自分の実力の差を明確に実感し知ることができたことが、それ以降どれだけ頑張らなければいけないかという指針になり、大切であったように思う。 ■直前期&当日の過ごし方 ひたすらに過去問を解きまくった。 具体的にいうとMARCHは5年分、早稲田は10年分である。 よく、英語は10年分解く人がいるが、私は3教科分すべて解いた。 これだけ解くとかなり傾向が掴めるし 、演習にもなる。 自分の点数や正解率を出して、合格最低点と比べて、自信をつけることもできた。 もちろん、毎回 合格最低点を超えていたわけではない。 しかし、何年分も解いたという事実が自信に繋がる上に、なぜ最低点を超えられなかったのかを明確にすることで改善でき、さらに自信が深まった 。 本当に直前は過去問を解く ことばかりしていたと思う。 本番の前日 には明日解くことになるであろう大学学部の問題を一年分解いた。 前日だからと早く寝ることもしないで、いつも通り勉強して過ごした。 せっかく作ったルーティーンを前日に崩すの がなにか嫌だったからだ。 おかげで長く勉強できるし、体調はいつも通りだし、一石二鳥であった。 当日は、起きた瞬間からもちろん 緊張した。 早稲田の前にMARCHをいくつか受けていたが、その緊張とは比べ物にならなかった。 一番の滑り止めは確保できていたが、全く行く気がなく、早稲田に落ちたらどうしてやろうかと思っていたくらいだった。 しかし、 試験会場に向かう道のりで、「今自分が歩いているこの道を四月からの通学路にしに行くんだ、この一年間この日のために勉強してきたのだ」と思ったとき、緊張はどこかへ行った気がした。 いい緊張感の中、試験に臨むことができたと思う。 変な緊張をしていると頭が真っ白になったり、震えたりすると思うが、そういうことは 全くなかった。 自分が一年間してきた勉強を信じることができたのだと思う。 これだけやっても合格できないのなら仕方がない、自分には無理だったのだなと思えるくらい勉強しなさいと恩師に言われたのを胸に刻んで、当日の朝の試験ギリギリまで勉強した。 試験十分前に参考書を見ても、もう意味がないし、手遅れだという人がいるが、私はそうではないと思う。 そのギリギリまで諦めずに勉強したことが、直前に見ていたことが試験に出るという運ですら引きつけると言われたことがある。 確かに何回か入試でこのようなことが起きた。 たまたま偶然なのだと思うが、最後まで諦めず、覚えられるところは頭にいれて、試験に臨むのが大切だったと思う。 ■おすすめ参考書 これは、恩師に言われたことだが、参考書はなにを使っていても合格する人は合格することができる。 受験が終わった今だから言えることだが、なんの参考書を使おうが、出版されている以上知識は吸収できるはずであり、載っている情報を隅々まで覚える人はすべて覚える。 それは確実に合格に繋がる。 恩師に言われた言葉にとても納得がいって、私は何冊かの参考書を隅々まで吸収したつもりだ。 だから、なにを使っても合格できるとは思うが、わかりやすい参考書、覚えなければならないであろう知識がほとんど載っていたと思う参考書、自分が使っていた参考書を挙げようと思う。 ◎英語 ・コーパス4500(英単語) 基本的な単語を網羅している。完璧にすべて覚えるのが当たり前のレベルのもの。例文や使い方が詳しく載っており、また、似たような意味の単語で固めてあるので、覚えやすい。 ・ユメタン2(英単語) コーパスよりもレベルの高い英単語が多く載っている。CDがついていて、聞きながら覚えると覚えやすい。これもしっかり覚えておけば、間違いなく早稲田でも通用する。私は、現役時代にこのレベルまで入れていたので、浪人期は単語にはほぼ困らなかったが、やはり忘れていってしまうため、確認を続けていた。 ・HiT-tan2240(英単語) 使い方はあまり載っていないが、単語数が多い。薄いので持ち運びやすく、確認や覚えなおしていた浪人中は大活躍した。 ・HiT-1000(英文法、英単語) イディオムが載っている単語帳。センター試験も大学の入試も英文法の問題はイディオムが絡んでいることが多いため、重要であった。これだけ覚えれば十分だったと思う。 ・英文法チャート(英文法) 見にくく、字が多いが、確実に知らなければならないことが書いてある。現役時代に高校で支給されたものだが、そのまま使って極めたところとてもよかった。 ・Japan Times ST(読解) 毎日一記事ずつ読んでいた英字新聞。一年間続けた勉強法に書いてあるもの。 ◎国語 ・古語315 少し語数が少ないが、品詞ごとに分けられていて、覚えやすい。足りない分はもう一つの教材と、自分でノートを作っていた。 ・国語資料集 予備校で支給されたもので、四字熟語、現代文の語彙、古語から漢文文法、文学史まで国語に関する知識が多く載っている。古語315では足りないところはこれで補った。 ◎政治・経済 ・畠山のスパッとわかる政治・経済爽快講義 トピックごとにかなりわかりやすく分かれており、講義形式なので、授業のように理解できる。流れが掴みやすいのでおすすめ。 ・政治・経済用語集 日本史や世界史の用語集の政治・経済バージョン。歴史に比べて流動的な部分が多い教科なので、基本的な部分を抑えるにはいいが、MARCH・早稲田には足りない。 ・現代社会の最新時事 毎年9月ごろに出版される時事が載っているもの。MARCHや早稲田は時事を多く出すので、対策が必要。プラスで私は、まめに新聞やニュースをチェックしておくということをしていた。 多くの参考書を紹介したが、ほとんど高校や予備校で支給されたものである。 政経は高校で授業がなかったため、すべて一から買ったが、それ以外はあるものを使ったものが多い。 それで十分だった。新しいのをたくさん買うのではなく、とりあえず、手元にあるものを仕上げていくことが大切であり、合格への道であると思う。 問題集も高校のときから続けていた進研ゼミの現役時代に手をつけられていなかったものを片っ端から解いたのと、予備校のテキストに載っている問題のみで十分だった。 何事もきちんとすべてやり遂げることが大事だと思う。 この参考書を使えば、この問題集をやれば、この先生に教えてもらえば、絶対合格する、ということはないと思う。 参考書も問題集も先生も自分がどう吸収して、解いて、理解して、質問するかにかかっている。 ■受験生へのメッセージ この受験生活を通して、本当にたくさんのことを学んだ。 ここには書ききれてないことも多くある。 しかし、私が伝えたいのは、「すべては自分次第だ」ということである。 ここまで自分の勉強法を書いてきたが、もちろんこれが唯一の正解なわけではない。 学校の先生や予備校の先生、塾のチューター、いろんな人がアドバイスをくれるはずである。 食い違った意見もあるはずだ。 しかし、そこで迷っていてはいけない。 どれを選んで、どれだけ言われたことをしっかり、きちんと実行、勉強するかは自分次第であり、それが鍵なのである。 受験のプロのアドバイスはきちんと実行すれば、確実に成果はでると思う。 ある一人の人から言われたことを正確に実行する、もしくは自分がいいと思う部分をいろんな人の意見からもらって、それをすべてきちんとやれば、間違いなく結果につながるはずだ。 もうひとつ、受験において大事なのは「絶対この大学に行くという志」である。 私は、関西の田舎出身で、普通は地元の予備校や関西の予備校に寮へ入って通うはずであるところを、両親に無理を言って、東京の一橋学院に早稲田の近くで一人暮らしをしながら、通わせてもらった。 それは「絶対に早稲田に行くという志」があったからだ。 また、近くで自分の目指す大学を見て、モチベーションを繋げて、そのままここに住んで、来年からここから大学へ通うのだという気持ちを持ちたかったからである。 両親には心配をかけ、負担をかけるにも関わらず、一人暮らしで浪人をするという無茶を、私を信用して、了承してくれたことに本当に感謝している。 一人暮らしということでもちろん家事などもある。 私が特別ということでは全くなく、志があれば、家事などをしていても合格することは可能だということを伝えたい。 目標を明確にもってしっかり勉強すれば、間違いなく、合格は近づくのである。この受験生活のことは絶対忘れられない。 そのような一年を過ごせたということが誇りである。 バックナンバーに戻る |