vol.19 興味が筆を走らせる ツイート

2015年4月4日

上甲さん3

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レビューシートやレポートは大の苦手。書くことなんか大嫌い!と思っている学生は多いはず。それなのに、TwitterやFacebookは毎日のように更新していますよね。「好きなことなら書けるけど、教授に出されたテーマになんか興味ないし……」そんな苦しい作業を絶えず行っているのがプロのライターです。
臨場感あふれるライブレポートや独自の観点を持つインタビューで嵐ファンから人気を博しているフリーライター、上甲薫さん。彼女の書く文章は、ファンも驚くほどファンの心そのものです。彼女はどうやって筆を走らせるのか。どうして読み手を魅了する記事を書けるのか。学生生活にも役立つお話を伺うことができました。


上甲 薫(じょうこう・かおる)
大阪府出身。ホテル勤務、テレビ情報誌記者を経てフリーライターに。男性アイドルのライブレポートや俳優のインタビュー記事を中心に、雑誌『SODA』『TVぴあ』『日経エンタテインメント!』などで執筆。嵐や東方神起のファンから絶大な支持を集める。



初めて嵐に取材したのは2002年です。最初は正直、彼らの楽曲にしか興味がなかったんです。でも今はもうファンですよ。会った当初から頭が良くてひたむきだなっていうのはすごく感じていましたし、売れてしかるべき人たちだなと思う。

嵐の記事に対する反響を感じ始めたのは2004年くらい。世間的にはブレイクする前ですね。まだほとんどの雑誌がそんなに彼らにページを割いていない時代だったから、ファンは熱心に一つ一つの記事を読んでくださったんじゃないかと思います。その感想を名指しでブログに書いてくださる方が出てきた。よっぽど印象に残らないとライターの名前まで見ないじゃないですか。だから、相当喜んでくださったんだなって、すごく感激しました。そういった方々をがっかりさせないものをまた書かなきゃっていう、いい意味でのハードルができましたね。

それに、嵐はちょっと特殊で、出来上がった記事をチェックしてくれるメンバーがいるんです。皆さんお忙しいし、ほとんどのインタビュイーがふつうは読まないと思いますけど、そういうところが嵐はやっぱりきちんとしてる。だから私もやりがいがある。本人が見るものだと思ったら、きちんと真意を汲み取った書き方をしないとっていう緊張感もひとしおですし、こちらも刺激をもらっています。

私の場合は文章力うんぬん以前に、たまたま「お、この子たちは面白いかも」と思った嵐というグループが結果、ビックになったので、本当に運が良かったと思います。「この人たち素敵!」っていうのをどんなに一生懸命に書いて伝えたくても、売れなかったら活動休止、解散、となってしまう。そうすると私の書く場所もなくなりますからね。そしてこれも運良く、私が「ここだ!」って思ったところに共感してくださる方が多かった。ファンと気が合ったというか。評価してくださる方々がはがきやメールを送ってくださることで、編集部の人にも「上甲さん、嵐ファンに褒められてるよ」って言ってもらえるんです。そうやって自信をもらって、読者のみなさんに助けられています。



【次ページへ】そのなかで初めて、書くことに対する渇望感に気づいたんです
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