「自分らしさ」ってなんだろう。日本という一つの文化圏で育った多くの若者は、その答えに行き詰まっているように見える。自分に煮詰まったら外に目を向けてみよう—— 幼少期を海外で過ごした山崎まどかさんは今も海外文化にアンテナを張っている。そうして蓄えられた豊富な知識を軸に、「自分らしさ」を活かして執筆活動を行う彼女は、海外の価値観と日本の価値観、両方を知っているだろう。日本での「自分らしさ」の見つけ方、向き合い方について、山崎さんの言葉は悩める若者にそっと寄り添うはずだ。
山崎まどか(やまさき・まどか)
1970年生まれ。コラムニスト、ライター、翻訳家。自身の豊富な知識を生かし、映画、音楽、ファッションを始めとするサブカルチャー、洋書などの紹介コラム、書評を多数執筆している。著書に「オリーブ少女ライフ」(河出書房新社)、「ヤング・アダルトU.S.A.」(DU BOOKS)(長谷川町蔵氏との共著)がある。2015年まで講談社のアイドルオーディション「ミスiD」の選考委員を務めた。
――ミスiDの選考コメントを拝見しました。色々な方にアドバイスされているなかで、応募者のキャラクター、自分らしさを後押しするようなコメントが印象的でした。
ありがとうございます。でもミスiDはなにかの役やポジションを競うようなオーディションではないので、コメントが難しいんですよね。一つの型に対して「あなたは違いました」と言うことができないんです。ミスiDは主催者である小林司さんの「女の子は一人ひとり違ってみんなに可能性がある」という思いから始まりました。でも落ちてしまった時に「私らしくっていうからありのままの私で来たのに、何がいけなかったの?私を否定するの?」となってしまうので、それは辛いと思います。
――山崎さんはミスiDの候補者に対して「痩せなくていい」「もう少し太ってもいい」などとコメントされていました。日本に比べて、海外ではぽっちゃりした女優が主人公のドラマなどが放送されていて、作品自体が社会現象になったりもしますよね。
海外と比べて日本の女性タレントは本当に細身の子が多いです。日本の女の子は理想とする体型が細すぎますし、そもそも骨格的に実現可能なのか考えて欲しいです。メディアの影響もあって、日本人はみんな一つのものを目指そうとしてしまうんじゃないでしょうか。だから私は日本だとイレギュラーな海外の子達を紹介するときには、みんなに対して「綺麗だよね!」って言い方をします。
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