――実際に動いていくなかで、どんな苦労がありましたか。
丹埜「立ち上げた当初は、人材の確保に苦労しましたね。合宿所は都心から通勤することができない場所だし、地元で人を集めようにも、意欲のある若手人材はどんどん都市部に流れていく。今は、だいぶ人が集まるようになりましたけどね」
――うまく軌道に乗せることができた証拠ですね。
丹埜「合宿事業って、想像以上にマーケットが大きいんですよ。そして、利用する人たちは『安ければそれでいい』ではなく、みんな少しでもいい環境を探している。それなのに、世間からは地味なビジネスと見なされているのか、競争はそんなに激しくないんです」
――他の合宿施設と比べて、どのあたりに自信をお持ちですか。
山浦「お客様からの要望は、すぐに反映するようにはしていますね。僕も丹埜もずっと競技スポーツをやってきて(注)、合宿をする側のニーズというのはある程度理解できますし。あとは、施設の場所ですね。南房総は、魚も野菜も本当においしいんですよ」
※注:丹埜さんはスカッシュ世界選手権の元日本代表。山浦さんは強豪・筑波大学水泳部の出身で、卒業後はオープンウォータースイムで活躍。
周りからも羨ましがられるんですよ。
――今の仕事を始めて良かったと思いますか。
丹埜「そうですね。いつか、スポーツに関わる仕事をしたいと思っていたので、それが叶って良かったです。やりがいと社会的価値、その両方が満たされるビジネスだなと感じます」
山浦「仕事とプライベートの境目ってあんまり感じないんです。好きなスポーツをトピックにして働いているからかもしれません。周りの人からは、働き方を羨ましがられることも多いですから。仕事終わってみんなと飲みにいくときも、スポーツの将来のことを語っていて。それがすごく楽しいですね」