――川島さんのお話、すごく身に染みます。僕たちはちょうど今3年生で、いわゆる就活生です。世間では、不況と叫ばれ去年までの超売り手市場が壊れてきています。僕の周りでも全体的に大手企業に行きたいとか、給料がいいところに行きたいなど安定を求める姿勢が感じられます。このように不安を感じている学生たちに向けて激励のメッセージをお願いします。
まずね、選択肢として考えていることがあまりにも自分の頭の中でしか考えていないものしかないよね。それは残念だな。
例えば就職率が低いから、僕はアンラッキーだと考えてしまうことは、ちょっとどうかな。それは単にそのときの状況であって、ずっとラッキーな人なんていないわけでしょ。だから、社会がこういう状況に変わったとしたら、状況をラッキーな方向に持っていく行動っていうのが必ずあるんです。だから状況をプラスに持っていく道っていうのを考え出す“発想力”っていうものが大事になってくるんじゃないかな。
決断っていう意味では、その“発想力”だよね。なにかと悪いところばっかりを見てしまいがちだけども、それでも自分が何かを目指しているのならばそれを目指していくべきなんですよ。入る人はちゃんといるんだから。だから自分がもし編集者になりたいとかの夢があるのならば、そのための方法を考えられるだけ考えればいい。みんなと同じことやっても目立たないからだめじゃないですか。じゃあみんなと違うことやって、自分が編集者ならばどういう人を入れたくなるのかを考えるんだよ。いくらでもやりようはある。考えてやればいい。
自分が行きたいところがよくわからなくて、給料がよさそうだからとか、働かなければいけないんだとか、そういう訳が分からないような動機で先に進んでいくと枠が狭いというか、アンラッキーでしかないよね。
確かに、自分が本当にやりたいことを見極めていくってのは本当に難しいことだとは思うんだ。変わっていくものだし。だけど、自分が楽しいと思えるものや、こうやっていくといいなって思うものは必ずあるんだ。そういうものとちゃんと向き合って欲しいね。就職以外の選択肢ももしかしたらあるかも知れないですし。
僕の場合なんかはアメリカに行って、日本で就職してない。まあ、僕みたいな道もあるんですよ。自分が本気でやりたいものに対してポジティブに発想をしていければ、道っていうものは開けると思います。「そんなに世の中うまくいくわけないよ」とみんなは言うわけだ。だけど、そこで「そんなにうまくいくわけがないよね」と言ってしまったらそこで終わりなわけ。
そこでうまくいくか行かないかっていうのは本人の行動次第なんですよ。とりあえず一歩踏み出してみること。
基本的に早稲田の学生はみんな頭がいいわけだから、自分自身のことをちゃんと考えられるはずなんですよ。人の意見はちゃんと聞いて、でも他人の意見とかは単に材料のひとつでしかないぐらいの気持ちでいてほしいな。それをどうやってプラスに持っていくかって考えてやればうまくいくんじゃないかな。
決断することを支えるのはハートだから、自分の心に嘘をつかないように決断をして突き進む。そこがまっすぐしていると周りの人も、あの人頑張っているんだからちょっと助けてやろうかなって思うわけ。こういう状態になってうまく回っていくこともあるわけだから、あんまり深く悩まないで自分の行動で変えていってもらいたい。
状況の中で溺れるんじゃなくて、自分で周りの状況を変えていく、そういう発想でやっていくと、もっと自分の殻を突き破ってポジティブに生きられるんじゃないかなと思いますね。
川島さん、ありがとうございました!
特集「はたらくということ。」は、今回のインタビューが最後の記事です。
ご愛読、ありがとうございました!